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片頭痛の疫学
2025.10.20
片頭痛は世界的に主要な障害の原因の一つです。
- 有病率: 片頭痛は世界の人口の約14%に影響を及ぼしています。また、世界中の7人に1人が片頭痛を患っています。全世界で推定13億人が罹患しており、全年齢の有病率は18%と推定されています(95% CI: 1.2-1.4)。
- 米国の有病率: 米国では、およそ15%の人々が片頭痛を経験しています。15歳から64歳までのアメリカ人のうち、約6人に1人、女性では5人に1人が過去3ヶ月間に重度の頭痛または片頭痛を報告しています。
- 年齢層: 片頭痛の有病率は一般的に年齢とともに増加し、40歳から44歳の年齢層でピークに達します。18歳から44歳の人々で最も有病率が高く、過去3ヶ月間に17.9%が片頭痛を経験しています。
- 高齢者の有病率: 年齢とともに有病率は低下し、45歳から64歳では15.9%、65歳から74歳では7.3%、75歳以上では5.1%となります。80歳以上の人々では稀な発生となります。
- 疾病負荷: 2019年のGlobal Burden of Diseaseによると、片頭痛は全体で2番目の障害原因であり、若い女性の間では主要な障害原因とされています。
- 経済的負担: 片頭痛は社会に多大な経済的負担を課しています。この負担には、診断や治療のための直接的な医療費と、労働力の生産性損失に関連する間接的な費用の両方が含まれます。特に慢性片頭痛(CM)患者の医療費は、発作性片頭痛(EM)患者の3倍高いとされています。
性別と人口統計学的要因
性別は片頭痛の非修正可能なリスク要因の一つです。
- 男女比: 片頭痛の有病率は女性の方が男性よりも有意に高いです。
- 成人女性は男性より3倍片頭痛になりやすいです。性別有病率比はピーク時で3:1です。
- 米国の調査(2015年National Health Interview Study)では、女性の有病率は20.7%、男性は9.7%でした。
- 思春期前の子供では、片頭痛は男の子の方がより一般的です。
- 出産可能年齢の女性: 女性の片頭痛の有病率は出産可能年齢の間に最も高く、41歳でピーク(27%)に達します。
- 社会経済的要因:
- 片頭痛の有病率は、**貧困レベル以下で生活している人々(21.7%)や、年間世帯収入が35,000ドル未満(19.9%)の人々で最も高いです。これは、片頭痛の誘因への曝露増加や、治療・医療資源へのアクセス低下によって説明される可能性があります。
特定の片頭痛タイプ
慢性片頭痛(Chronic Migraine: CM)
- CMは世界人口の約2%に影響を与えています。
- 片頭痛患者の1%から5%が慢性片頭痛と定義されています。
- CMは18歳から50歳の間で最も高い有病率を示します。
前庭片頭痛(Vestibular Migraine: VM)
- VMは発作性めまいの最も一般的な原因であり、成人および小児にみられます。
- VMの有病率は、成人人口の1%から2.7%と推定されています。一般人口における生涯有病率は約1%、1年有病率は0.9%です。
- VMはめまい専門クリニックの患者の約7%、頭痛専門クリニックの患者の9%を占めます。
- VMは女性に多く(4:1)、男性の1.5倍から5倍多く発生します。
- VMの発症年齢(38歳)は、一般的な片頭痛の発症年齢(23歳)よりも遅いことが多いです。
- 患者の約3分の2が片頭痛の家族歴を報告しています。
月経関連片頭痛(Menstrual Migraine: MM)
- 一般人口の**18%から25%**の女性片頭痛患者が月経関連の関連性を示します。
- 女性片頭痛患者のほぼ4分の1がMMを患っています。
- 月経と関連した片頭痛を経験する女性は10%未満です。
予防的治療の必要性
- 発作性片頭痛患者の約38%が予防的治療の恩恵を受けるとされていますが、実際に予防薬を服用しているのは3%から13%未満です。
- 予防的治療は、発作の頻度や重症度を減らし、慢性片頭痛への進行を防ぐのに役立つ可能性があります。
進行のリスク要因
発作性片頭痛(EM)から慢性片頭痛(CM)への移行を促進するリスク要因がいくつか認識されています。
- 遺伝的感受性。
- 女性であること。
- 肥満。
- うつ病。
- ストレスの多い生活上の出来事。
- 効果的でない急性期治療や急性期片頭痛薬の乱用も、EMからCMへの進行のリスクを高める修正可能なリスク要因です。
逆に、ストレス管理、運動、適切な予防的治療はCMの予防に役立つ可能性があります。









