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脳波検査(EEG)とは?

2024.11.13

脳波検査(EEG)とは?

脳波検査(EEG)は、脳の電気活動や脳波の異常を検出する検査です。EEGの際、金属製の小さな円盤(電極)が細いワイヤーと共に頭皮に貼り付けられ、脳細胞の活動によって生じるわずかな電気信号を検出します。これらの信号は増幅され、コンピュータ画面や紙にグラフとして表示され、医師がそのデータを解釈します。

 

検査中、医師はおよそ100ページ分の活動を確認し、基本的な波形に加えて、点滅する光などの刺激に対する一時的なエネルギーの増加や応答にも注目します。また、視覚、聴覚、触覚への刺激に対する脳の反応を調べる「誘発電位検査」が追加されることもあります。

 

脳波検査の歴史の概要

EEGの起源は、イギリスの科学者Richard Caton1842–1926)が動物の脳から電気活動を記録し、脳の電気的性質を発見したことに始まります。Catonは感度の高いガルバノメーターを使って、睡眠中の活動の変化や死亡後の活動停止を観察しました。1924年には、ドイツの精神科医Hans Berger1873–1941)が初めて人間のEEGを記録しました。

 

1934年、FisherLowenbackが初めててんかんのスパイク波(異常波形)を示し、1935年にはGibbs, DavisLennoxが発作間のてんかん性異常放電や3Hzスパイク波のパターンを論文にしました。1936年には、GibbsJasperが局所的な発作間欠期のスパイクを論文にしています。

 

世界で初めての臨床脳波研究室が設立されたのは1930年代から40年代にかけてです。また、1947年には American EEG Society(のちの米国臨床神経生理学会)が設立されました。これらの発展により、EEGは診断や研究に不可欠なツールとして広がり、脳の活動に関する知識が飛躍的に向上しました。

 

なぜEEGが必要なのか?

EEGは様々な脳の疾患を評価するために使用されます。 特にてんかんがある場合、発作活動が急激なスパイク波として現れます。また、腫瘍や脳卒中による損傷がある場合は、EEGの周波数が低くなることがありますが、これは病変の大きさや場所によります。

 

EEGは、アルツハイマー病や特定の精神疾患、またナルコレプシーと呼ばれる睡眠障害の診断にも役立ちます。また、脳の全体的な電気活動の評価、外傷、薬物中毒、昏睡状態での脳の損傷の程度の評価にも使用され、重篤な患者の脳死の判断にも役立つことがあります。

 

EEGのリスク

EEGは長年使われてきた安全な検査で、痛みや不快感はありません。電極は活動を記録するだけで、刺激を与えたり感覚を生じさせたりすることはなく、電気ショックのリスクもありません。

 

ただし、まれにてんかん患者において、点滅する光や深呼吸によって発作が引き起こされることがありますが、その場合は医師がすぐに対応します。その他の健康状態によってリスクが異なることもあるため、心配がある場合は事前に医師に相談してください。

 

EEGに影響を与える要因

検査結果に影響を及ぼす要因には以下が含まれます:

 

– 低血糖(空腹による低血糖症)

– 体や目の動き(一般的には大きな影響はありません)

– 明るい光や点滅する光

– 一部の薬(鎮静剤など)

– カフェイン飲料(コーヒー、コーラ、紅茶など)は微妙な影響を与える可能性がありますが、通常は検査結果の解釈に大きく影響しません

 

 

EEG中の流れ

 

EEGの手順は以下の通りです。

 

  1. ベッドでリラックスして横になります。
  2. 頭皮に1625個の電極を専用のペーストで取り付けます。
  3. 目を閉じてリラックスし、静止した状態を保ちます。
  4. 記録が始まったら、検査中は動かないようにします。 検査技師が体の動きを確認し、結果に影響を与える動きがあるときは記録を一時停止します。
  5. 安静時の記録の後、3分間の深呼吸や点滅する光の照射などの刺激で脳波の変化を確認する場合があります。
  6. 検査は検査技師によって行われ、30分~1時間ほどかかります。

 

当院の取り組みについて

当院の院長は日本脳波学黎明期の祖とされる大熊輝雄氏および下田又季雄氏の元鳥取大学教授の流れをくむ研究室での研究生活と国立生理学研究所での脳磁場研究を通じて大脳生理学を中心テーマとして脳の研究と臨床応用を行ってきました。ややもすると画像検査による形態学に重点が置かれがちな臨床現場ではありますが脳機能の観点の重要性は今後も色あせることはありません。


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